14.「しゅんせつ工事業」/「しゅんせつ工事」について
※【掲載写真・説明等に関する留意事項】 当サイトに掲載している各建設工事の写真・説明等は、各許可業種の一般的な工事内容をご理解いただくための参考資料として掲載しております。これらの写真・説明等は、当該工事に係る該当業種であることを断定しておらず、該当工事であることを必ずしも保証するものではありません。また、申請に当たっての実際の許可業種や建設工事の判断を個別具体的に示すものではありません。個々の工事における具体的な業種区分や必要な許可につきましては、工事の内容や規模等により異なりますので、各建設工事や各許可業種の判断をされるに当たっては、各法令や通達等を十分熟読し理解され、申請する際は、各許可行政庁に必ず事前にお問い合わせをし、事前相談し、詳細をご確認下さい。

▲しゅんせつ工事 グラブ浚渫船

▲しゅんせつ工事 グラブバケット

▲しゅんせつ工事 グラブ浚渫

▲しゅんせつ工事 グラブ浚渫船

▲しゅんせつ工事 マイクロポンプ浚渫船
「業種」(法律別表) 「建設工事の種類」(法律別表)
13しゅんせつ工事業 しゅんせつ工事
◆しゅんせつ工事(業)とは何ですか?
しゅんせつ工事業とは、建設業法の専門工事業の一つで、しゅんせつ工事とは、河川、港湾、湖沼、運河などの水底に堆積した土砂や汚泥を取り除く、または海底や河床を掘削して水深を確保する専門工事で、建設工事の種類の一つです。「浚渫」と漢字で書きます。
(主な工事内容)
航路・泊地の浚渫
- 港湾の船舶航行路の水深確保
- 船舶の停泊場所の掘削
- 新規航路の開削
河川の浚渫
- 河床に堆積した土砂の除去
- 洪水対策のための流下能力向上
- 河口部の土砂浚渫
ダム・貯水池の浚渫
- 堆積土砂の除去
- 貯水容量の回復
運河・水路の浚渫
- 通航確保のための浚渫
- 農業用水路の維持管理
(浚渫の目的)
航行安全の確保
- 船舶の安全な航行に必要な水深の維持
- 大型船の入港を可能にする
治水・利水
- 河川の流下能力向上(洪水防止)
- 貯水能力の維持
環境改善
- 汚濁した底質の除去
- 水質改善
埋立用土砂の確保
- 海面埋立の材料として利用
- 土砂需要への対応
(浚渫工法の種類)
機械式浚渫
- グラブ浚渫船:クレーンのグラブバケットで掘削
- バックホウ浚渫船:バックホウで掘削
- 比較的硬い土質や岩盤に適用
ポンプ式浚渫
- ポンプ浚渫船:吸引管で土砂を吸い上げる
- カッター浚渫船:カッターで土砂を切削しながら吸引
- 軟らかい土砂に適用
その他の工法
- ディッパー浚渫
- バケット浚渫
(土砂の処理)
海洋投棄
- 指定された投棄区域への処分
- 環境基準を満たす土砂のみ
埋立利用
- 海面埋立の材料として活用
- 空港、産業用地の造成
陸上処分
- 土砂処分場への搬出
- 汚染土壌の場合は適切な処理
有効利用
- 建設資材としての再利用
- 海浜の養浜材料
(他の工事との関係)
港湾工事との関連
- 岸壁、防波堤工事と一体的に実施
- 埋立工事への土砂供給
河川工事との関連
- 護岸工事と併せた河川改修
- ダム建設時の堆砂対策
(必要な資格・技術)
- 潜水士:水中での確認作業
- 船舶操縦士:浚渫船の操船
- 測量技術:水深測量、土量計算
- 施工管理技術者:工事全体の管理
建設業法では専門工事業の一つとして、一定規模以上の工事には専門の建設業許可が必要です。
(特徴)
水上・水中作業
- 陸上工事とは異なる特殊な環境
- 気象・海象条件の影響を受ける
- 波浪、潮汐への対応
大型機械の使用
- 専用の浚渫船(数千トン級も)
- 高度な操船技術
環境への配慮
- 濁りの拡散防止
- 汚染土壌の適切な処理
- 水質・生態系への影響最小化
しゅんせつ工事は、港湾機能の維持、治水対策、環境改善など、水域の機能を保つ重要な工事です。
◆浚渫(しゅんせつ)工事の具体例について、より詳しく説明します。
(港湾浚渫工事)
航路浚渫
- 入港航路の維持浚渫
- 大型コンテナ船用の航路確保
- 水深12〜18m程度(船舶の喫水+余裕深)
- 幅員200〜500m程度
- 年間数万〜数十万m³の土砂除去
- カッター浚渫船やポンプ浚渫船を使用
- 新規航路の開削
- 大型船対応のための水深増深
- 既存水深10m→15mへの掘削など
- 岩盤掘削を伴う場合もある
- 数十万〜数百万m³の大規模工事
泊地(停泊地)浚渫
- 岸壁前面の浚渫
- 岸壁に接岸する船舶のための水深確保
- 水深10〜16m程度
- 岸壁延長に応じた範囲
- グラブ浚渫船での精密施工
- 錨地の浚渫
- 船舶が錨を下ろして待機する場所
- 広範囲の平坦な海底を造成
- 水深8〜12m程度
港内の維持浚渫
- 航路・泊地への土砂堆積除去
- 台風後の緊急浚渫
- 定期的なメンテナンス浚渫
- 小型のグラブ浚渫船やバックホウ浚渫船
マリーナ・漁港の浚渫
- プレジャーボート、漁船用の水深維持
- 水深3〜6m程度
- 小型浚渫船での施工
- 港内の堆積物除去
(河川浚渫工事)
河道浚渫(治水目的)
- 河床掘削
- 洪水時の流下能力向上
- 河床に堆積した土砂の除去
- 掘削深さ1〜3m程度
- バックホウ浚渫船やグラブ浚渫船
- 施工延長数百m〜数km
- 河口部浚渫
- 河口閉塞の防止
- 海からの土砂流入除去
- ポンプ浚渫船での施工
- 定期的な維持管理
ダム貯水池の堆砂除去
- 貯水容量回復
- 上流から流入した土砂の除去
- 数万〜数十万m³の堆砂処理
- 水位を下げて施工する場合もある
- グラブ浚渫船やポンプ浚渫船
- 選択取水設備周辺
- 取水口の機能維持
- 堆積物の除去
都市河川の浚渫
- 中小河川の維持管理
- 親水護岸周辺の浚渫
- 小型バックホウ船での施工
- 水質改善も目的
(運河・水路の浚渫工事)
運河の浚渫
- 船舶通航路の水深維持
- 水深4〜8m程度
- 幅員20〜50m
- 定期的な維持浚渫
農業用水路の浚渫
- 用水路の通水能力維持
- 堆積した土砂・ヘドロの除去
- 小型の浚渫機械
- 陸上からのバックホウ作業も併用
工業用水路
- 発電所、工場への取水路
- 冷却水路の機能維持
- ゴミ、堆積物の除去
(湖沼・貯水池の浚渫工事)
湖底浚渫(環境改善)
- 富栄養化対策
- 栄養塩を含む底泥の除去
- 水質改善、アオコ発生抑制
- ポンプ浚渫船での吸引
- 厚さ0.5〜1m程度の表層除去
- 汚染底質の除去
- 重金属、有害物質を含む底泥
- 環境基準超過箇所の浚渫
- 密閉型グラブでの採取
- 陸上での適切な処理
貯水池の容量回復
- 利水容量の確保
- 堆砂の計画的除去
- 土砂の有効利用
(特殊な浚渫工事)
岩盤浚渫
- 海底岩盤の掘削
- 航路拡幅・増深での岩盤除去
- 発破工法(水中発破)
- ブレーカー浚渫船(大型油圧ブレーカー)
- リッパー浚渫船(岩盤破砕)
- 掘削後にグラブ浚渫船で除去
汚染土壌の浚渫
- ダイオキシン汚染底質
- PCB汚染底質
- 重金属汚染底質
- 密閉型グラブや薬剤処理との併用
- 濁り拡散防止対策(シルトフェンス)
ケーソン据付用浚渫
- 防波堤のケーソン設置箇所
- 据付面の精密浚渫
- 水平度±5cm以内の高精度
- グラブ浚渫船での仕上げ
埋設物周辺の浚渫
- 海底ケーブル、パイプライン周辺
- 慎重な施工が必要
- 小型グラブや吸引式
◇浚渫工法の詳細
グラブ浚渫
- 使用機械
- 起重機船(クレーン船)にグラブバケット装着
- バケット容量:2〜20m³程度
- 船体:数百〜数千トン級
- 作業方法
- アンカー(錨)とワイヤーで船位を固定
- グラブバケットを海底に降ろす
- 閉じながら土砂を掴む
- 吊り上げて土運船に積込み
- 1サイクル2〜5分程度
- 適用土質
- 粘性土、砂質土
- 礫、岩塊(小〜中塊)
- 比較的硬い土質に有利
- 特徴
- 精密な施工が可能
- 浚渫深度の制限が少ない
- 岸壁際の施工に適する
※浚渫作業の紹介(グラブ浚渫・ポンプ浚渫)・・・・・(出典「国土交通省 四国地方整備局 高松港湾・空港整備事務所」https://www.pa.skr.mlit.go.jp/takamatsu/main/ohter/dredging.html)
ポンプ浚渫
- 使用機械
- ポンプ浚渫船
- 船体:数百〜数万トン級
- ポンプ能力:数千〜数万m³/日
- 作業方法
- 吸引管(サクションパイプ)を海底に降ろす
- ポンプで土砂と海水を混合して吸引
- 排送管で土砂を運搬・排出
- 連続作業が可能
- 適用土質
- 軟らかい粘性土、砂質土
- シルト、ヘドロ
- 特徴
- 大量施工に適する
- 土運船不要(直接排送)
- 遠距離輸送が可能(数km)
カッター浚渫
- 使用機械
- カッター浚渫船
- 船首にカッターヘッド(回転刃)装備
- ポンプ浚渫機能を併設
- 作業方法
- カッターヘッドで海底を切削
- 切削された土砂をポンプで吸引
- やや硬い土質も切削可能
- スパッド(支柱)で船位を固定し、旋回しながら施工
- 適用土質
- 粘性土、砂質土
- 固結した粘土
- 軟岩
- 特徴
- 効率的な掘削
- 平坦な仕上がり
- 大規模工事に適する
バックホウ浚渫
- 使用機械
- 台船にバックホウを搭載
- バケット容量:0.5〜5m³程度
- 作業方法
- スパッドで船体を固定
- バックホウで掘削
- 土運船に積込み
- 適用土質
- 粘性土、砂質土
- 礫、玉石
- 岩塊(中〜大塊)
- 特徴
- 陸上工事に近い感覚
- 小規模工事に適する
- 浚渫深度に制限
◇浚渫土砂の処理方法
海洋投棄
- 投棄区域への運搬・投棄
- 土運船(ガット船)を使用
- 船底を開いて投下
- 環境基準(溶出試験)適合が条件
- GPS管理による正確な投棄
埋立利用
- 海面埋立
- 空港、港湾用地の造成
- ポンプ浚渫船から直接排送
- または土運船で運搬
- 護岸内に投入・締固め
- 陸域埋立
- 窪地の埋戻し
- 盛土材料として利用
土砂改良
- 脱水処理(含水比低減)
- セメント固化
- 建設資材として再利用
陸上処分場
- 汚染土壌の場合
- 専用処分場への搬入
- 遮水シートでの封じ込め
- 浸出水の処理
有効利用
- 養浜材
- 海岸侵食対策
- ビーチの砂補充
- 粒度調整が必要
- 覆砂材
- 汚染底質の覆土
- 環境改善用
- 農地改良材
- 客土材料
- 土質改善
◇施工管理
測量管理
- 施工前測量
- 音響測深機(シングルビーム、マルチビーム)
- 海底地形の3次元データ取得
- 浚渫土量の算出
- 施工中測量
- 浚渫進捗の確認
- 日々の出来高管理
- GPS/GNSS測位システム
- 完成測量
- 所定深度の確認
- 平坦性の確認
- 出来形管理
品質管理
- 浚渫深度の精度
- 法面勾配の確認
- 浚渫残土厚の管理
- 基準面±10〜20cm程度の精度
環境管理
- 濁り拡散防止
- シルトフェンス(濁り防止膜)設置
- 汚濁防止膜の展張
- 濁度の常時監視
- 騒音・振動
- 施工機械の騒音測定
- 近隣への配慮
- 水質監視
- SS(浮遊物質)濃度測定
- pH、DO(溶存酸素)の監視
- 基準値超過時の作業中断
安全管理
- 船舶の航行安全
- 作業船の灯火・標識
- 気象・海象の監視
- 悪天候時の避難
◇使用船舶・機械
浚渫船
- グラブ浚渫船:100〜5,000トン級
- ポンプ浚渫船:500〜30,000トン級
- カッター浚渫船:1,000〜20,000トン級
- バックホウ浚渫船:100〜2,000トン級
補助船舶
- 土運船(ガット船):500〜5,000トン級
- 押船(タグボート)
- 測量船
- 作業船(スパッド台船)
陸上機械
- ブルドーザー(埋立地の整地)
- ダンプトラック(陸上運搬)
測量機器
- 音響測深機
- GPS/GNSS測位装置
- マルチビーム測深システム
- サイドスキャンソナー
◇工期・工程
一般的な工程(港湾浚渫の例)
- 準備工(1〜2週間)
- 浚渫船の回航
- 作業基地の設置
- 施工前測量
- 本体工事(数ヶ月〜1年以上)
- 浚渫作業
- 土砂運搬・処分
- 進捗測量
- 完成工(1〜2週間)
- 完成測量
- 後片付け
施工能力
- グラブ浚渫:500〜3,000m³/日
- ポンプ浚渫:5,000〜50,000m³/日
- カッター浚渫:10,000〜100,000m³/日
◇季節・気象条件
施工可能条件
- 波高:1.5m以下(船種により異なる)
- 風速:10m/s以下
- 視界:良好なこと
施工制約
- 冬季の荒天(日本海側)
- 台風シーズン(夏〜秋)
- 漁業との調整(禁漁期以外)
◇環境配慮型浚渫
生態系保全
- 産卵期の作業回避
- 藻場・干潟への影響最小化
- 濁り拡散の徹底管理
薄層浚渫
- 環境改善目的の表層除去
- 厚さ10〜30cm程度
- 生物への影響を最小化
浚渫工事は、港湾機能の維持、治水・利水、環境改善など多様な目的で実施される重要な工事です。大型の専用船舶と高度な技術により、水域の機能を支えています。また、近年は環境への配慮がより重視され、生態系への影響を最小限に抑える工法や、浚渫土砂の有効利用が進められています。
<業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)>
第1欄 建設工事の種類 (建設業法別表) 昭和46年制定 建設工事の内容
しゆんせつ工事
第2欄 業種 (建設業法別表)
しゅんせつ工事業
第3欄 建設工事の内容(昭和47年3月8日建設省告示第350号)最終改正平成29年11月10日国土交通省告示第1022号
河川、港湾等の水底をしゆんせつする工事
第4欄 建設工事の例示(平成13年4月3日国総建第97号)最終改正令和4年12月28日国不建第463号
しゆんせつ工事

▲しゅんせつ工事 ポンプ浚渫船

▲しゅんせつ工事 ポンプ浚渫船

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マイクロポンプ浚渫船

▲しゅんせつ工事
浚渫用バックホー

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湖の浚渫工事

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河川浚渫工事

▲しゅんせつ工事
河川浚渫工事
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